2007年 09月 30日
前から描こう描こうと思いつつ、機を失っていた綾と香澄です。
このふたりは、最初にひと通り選手を集めた後、枠追加がされてから取った「らぶぱー2期生」。 そのため、それぞれ独自のコンセプトを持って育成してました。 割と自由に育成できる『愛』なので、キャラクターの個性を生かしつつ、いかに他では無い要素を盛りこむか、が大きなテーマです。 香澄んは、「キャラを最初に見た時のイメージを再現する」と「那月の無念をいかに晴らすか(笑)」。 そして綾たんは、「どうしてもインチキくさくなるブランク綾にどう個性を持たせるか(苦笑)」です。 もっと具体的に言うと、「強い綾やパワー攻撃が高い綾はアリかもしれないが、筋力のある綾はなんかイヤ(笑)」。 筋力1で器用Cという、とてもわかりにくい弱点のあるパラメータ振りになっています。 そして「根性無し・補正無しのキャラクターで大会を勝ち抜くことは可能なのか?」がアジアタッグのテーマ。 ちなみに現在、1次で勝った相手に取りこぼして2次リーグ2勝1敗。 明らかに優勢だったんですが…最後に取っておいた決め技用の必殺に必殺を重ねられ、あげくダウン補正で関節技を無理やり極められあっさりギブアップ。 もうやだ…ダウン補正…トラウマになりそうです(苦笑)。 ともあれ、全戦終了組では、7勝1敗が1チーム、6勝2敗が1チーム。 そして、明らかに強そうなところでまだ試合を残しているところが、ウチと対戦相手も成績もまったく同じの2勝1敗。 もう1敗もできません…。 果たして、ノーマークタッグの逆転決勝進出はなるのか? で、なんだかSSも思いついたんで、書いてみました。 (10/1 17:55:試合結果を元にしたSS「決戦」も追加) やや長いので畳んでおきます。 (Web拍手レスは上の専用トピックにあります~) --------------------------------------------------------------------- ■出陣前夜 ~元・師匠と弟子と~ バシッ、バシッ。 規則正しく、時には激しく。 キックミットを叩く音が、道場に響く。 「ふぅ…」 一息つき、汗をぬぐう。 「…相変わらず香澄は熱心ですわね」 「え…な、那月さん!?」 驚いた香澄が振り向くと、そこには、かつてらぶりぃぱーてぃでエースを務め、今は引退している真壁那月がいた。 「でも、飛ばし過ぎには注意しなさい、って昔から言ってるでしょ?」 昔と変わらぬ、腕を組んでの微笑みを浮かべた表情で、那月がつぶやく。 「あ、あはは…」 香澄が入団当時、彼女の指導を務めたのが那月だった。 彼女の引退後は、相羽が香澄のコーチ役となったのだが…。レスラーとしての基本と、…そして、空手をベースとした打撃を教え込んだのは那月である。 「香澄は、昔から頑張りすぎるところがあるからね」 「うぅ…」 よって香澄にとって、那月は頭が上がらない存在なのである。 「…もっとも、そのおかげで、蹴りに関しては私よりもずっと良くなっちゃったけど。美冬さんを思い出すわ」 「い、いえ、そんな…! まだまだです!」 「そうね。コンビネーションの最後のつなぎが、少し甘いかもね」 「う…! は、はいっ!」 そう言うや、フォームを確認しだす香澄。 そんな彼女を、那月がじっと見つめる。 「アジアタッグ、2次リーグ進出ですってね。とりあえず、おめでとう」 「あ、はい!」 「…もう、ひとつも負けられないものね」 「…はい」 真剣な、少し硬い表情になった香澄が、じっとキックミットを見つめる。 「…やっぱり、NEW WINDの伊達を意識しているの?」 「……う」 「アウエー戦では惨敗していたようですわね。…まあ、アウエーでは勝てる訳ない実力差ですけど」 「……はっきり言われると、辛いなあ……」 NEW WINDの伊達&永沢組。 第1回アジアタッグで決勝リーグまで残った、このクラスでの有名強豪チームのひとつだ。現在熱く盛り上がっている、アジアタッグ戦線の火付け役の一端と言えるだろう。 「以前、一度対戦したことがあるんでしょ」 「はい」 「その時は、勝ったと聞いているけれど?」 「そうですけど…正直、綾ちゃんが頑張ってくれたおかげというか、それも本当に運が良かっただけというか…ボク自身は、何もできなくて…」 「でも、当時の貴女はまだ、ジュニア卒業直後でしょ」 「はい…でも…」 香澄が唇を噛み、動きを止める。 「…そうね。正直、香澄では、伊達さんには…勝てないわね」 「うっ…」 はっきりと言い切られ、下を向く香澄。 「身長さ、根性、素質もさることながら…私の見立てでは、相性が悪すぎるわね。シングルをやったら、何度やっても香澄が一方的に敗れるだけでしょうね」 那月が冷静に、残酷な現実を言い切る。 「それを分かっているから、猛練習しているんでしょうけど…。まあ、バカ正直というか何というか」 「うぅ…」 下を向いていた香澄が、涙目で悔しそうな表情を見せる。 「…でも」 「……」 「香澄は大事なことを忘れているわ」 「……?」 「貴女たちがこれから挑むのは、タッグなのよ」 その瞬間、香澄の背後から突然、人影が飛びかかる。 「うわっ!?」 「そーだよ~。今の香澄ちゃんには、綾がついてるよ~」 後ろから香澄を抱きしめながら、にこにこと屈託の無い笑顔で微笑む綾。 香澄とほとんど同じ時期にらぶぱー入りした、唯一の同期と言える存在。 そして今は、香澄の正タッグパートナーである。 「相手も師弟ですし、タッグとしても十分手ごわいですけど…貴女たちだって同期ですわ。シングルと違い、わずかでも可能性はある。…ホームでなら」 「はい!」 「うんっ♪」 「それぞれがシングルをしたら、確実に負けるでしょうけど…」 「ひど~い」 「でも、1+1を5にも10にもできるタッグ。それが、貴女たちふたりでしょう? 私は、そう教えたはずですわ」 「はいっ!」 「うんっ!」 「正直、小さくて、根性無しで、素質も無い。…でも、そんな貴女たちでも輝ける場所がある。それがあのリングですわ」 那月をまっすぐに見据えて、聞き入る香澄と綾。 「…自信を持って行きなさい。応援してますわよ」 「はいっ!」 「うんっ!」 同じタイミングで、こくっ、と深くうなづいたふたり。 そんなふたりを見ながら、那月は思う。 普通に考えれば厳しい相手だけど…彼女たちなら、やれるかもしれない。 私ができなかった夢を…叶えてくれることを…。 「…でも、香澄。1次リーグのように、苦し紛れの脇固めでギブアップしちゃダメですわよ」 「は、はい…」 「いっくら綾でも、あのタイミングじゃカットに入れないよ~?」 「反省してます…」 1次リーグで唯一喫した1敗。 格下を相手に圧倒的に押しながらも、とっさにかかった何でもないはずの脇固めで香澄がいきなりギブアップしてしまったのだ。 痛いところを突かれ、落ち込む香澄。 「うふふっ」 「あはは~♪」 そんな香澄を見て、思わず微笑んでしまう那月と綾。 「…綾。あなたも、こないだの公式戦。一度勝っている相手に優勢に立ったからって油断して、あっさりギブアップしたわよね? しかも、ロープ際で」 「……ぐすっ」 やっぱり痛いところを突かれ、涙目になる綾。 (ここ一番であっさりギブアップするクセは…ここの宿命なのかしら…) 「さあ、もう1つも負けられないんでしょ? 今日は私が、特別に練習を見てあげますわ」 「本当ですか!」 「もちろん。…あ、綾もね」 「え~…」 「えー。じゃない! 綾は特に厳しくシゴキましょうか…。もう2度とあんなギブアップはしないように…」 「な、なんか目つきがこわいよ~」 「いいから、今すぐ練習を始めなさい!」 「「は、はい!」」 元・師匠の、ひさしぶりの訪問。 さて、特訓の成果は出るか否か…。 --------------------------------------------------------------------- (10/1 17:55加筆) ■決戦 ~激闘! 2次リーグ最終戦~ 那月との猛特訓を経て、苦手を克服した(はずの)綾と香澄。 パワーアップしたふたりは、息の合った強豪たちを相次いで撃破。綾がかき回して香澄が決める、という勝ちパターンもようやく整い、連勝を重ねる。 そして迎えた、最終戦。 vs 伊達遥&永沢舞。 ここまでアウエーでは無敗のNEW WIND組である。 勝てば決勝進出が濃厚、負ければ敗退決定。 まさに大一番だ。 彼女たちの強さを支えているのは、やはり伊達遥の存在だろう。 前に1度対戦した香澄たちにはわかっていたが、立ち技では彼女に隙はほとんど無い。 スピードでかき回すか、捕まえて寝技に持ち込むか…。これができないと、彼女を消耗させることさえできないだろう。 しかし、スピードと空中技、鋭いジャべが持ち味の綾なら…それができる。 シングルでは勝てないけど、綾とのタッグなら…。自分が耐えてパートナーにつなげば、絶対に勝機はある! 香澄は、タッグとして勝つ気でリングに向かった。 試合開始直後。 前に戦った時よりも、自分はずっと成長している。 …だが、それは相手も同じだった。 遥のディフェンスは、鉄壁だった。 得意の打撃はもちろん、投げも打たせてくれない。 遥の打撃をくらいまくった香澄は、防戦一方となる。 (でも……ここで、耐え抜けば!) 攻めまくる遥の一瞬の隙をつき、エルボーを打ち込む! そして素早く、信頼できるパートナーの綾にタッチをする。 香澄との攻防とは一転、今度は綾が遥にドロップキック、ローリングソバットなどを打ち込みまくる。 綾のスピードを見ているのか、受けに回った遥だったが、綾の勢いを止められない。 そしてようやく、永沢がリングに上がる。 「まかせたよ~!」 綾のタッチを受け、素早くリングに戻る香澄。 スピードには優れた綾だが、反面、スタミナはごく普通。 そして何より、綾の攻撃は、致命的に軽い。 だから、なるべく香澄が長くリングに立ち、ピンチの時だけ綾が助ける…それが、ふたりのタッグワークなのである。 (伊達には勝てなくても、永沢相手なら…) しかし、香澄の考えは、甘かった。 打撃を打つより早く、次々と組み付いて投げを打っていく永沢。 遥のピンチを感じているのだろう…その攻撃に、気迫がみなぎっている。 (くっ…!) 一進一退の攻防を繰り広げる香澄と永沢。 互角に見えたが…手数では永沢が上回り始めていた。 地力では負けない…そう思っていた香澄の心が、揺らぎ始めていた。 試合は、中盤にさしかかる。 リングではふたたび、綾が遥を攻めこんでいく。 今度は複雑な関節技を次々と決めていく綾。力は無くても、動きを封じ込めてしまえば戦える。 そして、痺れを切らした永沢がカットに入ったところで、香澄も呼応して永沢を場外へ分断。 ここで畳み込むように、早くも切り札のドラゴンカベルナリアを綾が決める! リング中央ではないが、ロープも近くは無い。 何とか耐える遥だが、スタミナは急速に奪われていく。 会場がざわめくなか、綾は一気に勝負を決めようと遥を捕獲…しようとするが、ここで遥が綾を吹き飛ばす! そして瞬く間もなく、なんと遥の大技、必殺の閃光鳳凰弾(シャイニング・ウィザード)!! 遥と綾がともに倒れこみ…タッチに向かう。 一歩早く遥がタッチに成功するが、綾も香澄にタッチ成功! 「…決める!」 意気込んで飛び出した香澄だったが、待っていたのはまたも永沢のスープレックス地獄。 さらにDDT合戦も制されてしまい、気がつけば一気に相手コーナーへと追い込まれてしまう。 そしてついに、倒れこむ香澄。 遥がピンチなら、私が勝つ。 香澄は、永沢の気迫に飲まれかけていた。 しかし、ここで綾がリングを一気に駆け抜け、カットに入る! 「かすみん、行け~!」 …そうだ! ボクだって、負けられない!! 「おおおおおっ!」 永沢の身体をホールドした香澄が、一気に鋭いブリッジを描く! 必殺の、ノーザンライトスープレックス! しかし、まだ永沢には余裕がある。 香澄からタッチを受けた綾が永沢を捕らえるが、素早く切り返して遥にタッチ! (今だっ!) 混線のなか、香澄が永沢を場外へ落とす。 そしてふたたび、綾のドラゴンカベルナリアが遥に決まる! 会場が悲鳴に包まれるなか…しかし、遥がまたも耐える。耐えまくる。 それなら、とリング中央に遥を持っていこうとする綾。 しかし、追い詰められた遥の身体が動くや…なんと綾の身体を駆け上り、今日2発めの……必殺・閃光鳳凰弾! まさかの2発めを受けた綾を、遥が懸命に押さえ込む。 1、2……2.5! 綾もどうにか返す! そして戻ってきた永沢にタッチする遥。 だが、綾も素早く起き上がるや、永沢をローリングソバットで迎撃! 「あとは…まかせたよぉ…!」 倒れこむように、飛び込んで香澄にタッチする綾。 「…よしっ!」 永沢舞の気迫に飲み込まれた香澄を励ましてくれたうえ、さらに、あの伊達遥の閃光鳳凰弾を、2発も受けてくれた綾。 「負けられないのは…ボクたちだって同じなんだ!」 突っ込んでいった香澄を、永沢が捕らえてスープレックス。 しかし、今度は香澄が起き上がるや、すぐさまDDT! そして永沢の起き上がりざまに、強烈な裏拳を一閃! それでも、ダウンせずに、立ってこらえる永沢。 そんな永沢を香澄がガッチリと捕らえる。 「ここ…だぁっ!」 そのまま…キレイなブリッジを描いて、ノーザンライトスープレックス!! 遥が懸命にカットに入るが、スピードに優る綾が、素早く遥を妨害する。 1、2…………3!! レフリーの手が、マットを3回叩いた。 香澄&綾組、2次リーグ最終戦を勝利で突破! ○辻香澄 | 45分26秒 |伊達遥 榎本綾 |ノーザンLスープレックス|永沢舞● (らぶりぃぱーてぃ) (NEW WIND) ※このSSにリンクする後日談が、N’sGAMEさんのほうでアップされています。 →こちら
by daiya-k
| 2007-09-30 18:53
| 香澄
|
アピール中
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