2008年 01月 15日
まさかこのサイトが、2日連続で更新するとは思いもよるまい!
一応、リプレイ…なんでしょうかね…。 書き上げたのは大会直後なんですが、絵をつけたかったんで今ごろ更新です。 …まあ、大会も止まっているし…いいよね? ----------------------------------------------------------- 「最弱」と言われ続けてきたレスラーが、いた。 らぶりぃぱーてぃで、メロディ小鳩と同じ日に入団した、もっとも最後に入った若手。 彼女の名前は…ジーナ・デュラム。 心底弱気な性格で、普段から、どこかおどおどしている少女である。 とても純粋で、正義感は強いのだが…。 とにかく、一瞬にして、相手…どころか、場の空気にのまれてしまうのだ。 すでに実績のあるプロとして入団してきたはずの彼女だが、その強さは誰が見ても新人以下。 軍団デビュー戦では、相羽和希を相手にわずか6分53秒で圧倒的な敗北。 以来、あっさりと勝利した同期の小鳩に対して、リングに上がっても連戦連敗。 デビュー20戦目にして、初めてタッグながら格上の石川涼美を必殺の裏投げで沈めた日は、選手寮がお祭り騒ぎだったほどである。 …もちろん、当の本人は宴会開始数秒でダウンしていたのだが。 そんな彼女に、ある日、とんでもない話が持ちかけられる。 「大会……ですか?」 「そうですよ」 「む、無理に決まってます……私なんか…いつも負けてばっかりですし……」 「無理かどうかは、ボスである私が決めることです」 「は、はい……」 第2回ヤングリーグ。 若手が集まる大会に、ジーナがエントリーされることが決まったのだ。 押しに弱いジーナがボスの命令に逆らえるわけもなく、あっさりとジーナの大会出場は決まってしまう。 …そして、開幕した1次リーグ。 「な、なんだかみんな強そうです…。や、やっぱり無理ですよ…」 「大丈夫だ。私…いや。いつも練習につきあってくれた、先輩たちを信じるんだ」 控え室ですっかり震えていたジーナを励ましに、軍団の最ベテランである相羽和希を始めとしたメンバーが集まっていた。 「大丈夫だよ! ジーナちゃんならきっとやれるって!」 そして、ジーナの練習を主に見てくれた、辻香澄、杉浦美月、白石なぎさらもジーナを励ます。 「うんうん。ジーナちゃんは強いよ。ボクとあれだけ練習したんだから」 「…練習通りにすれば、大丈夫です。データにおいても、ジーナさんが勝ち抜く確率は90%を超えています」 「……ふぁいと……」 なぎさから風船を渡されたジーナ。 「せ、先輩たちがそこまで言うなら…が、がんばってみます!」 案外、ノリやすいタイプなのであった。 そして迎えた第1戦。 「よろしくお願いします~」 「…こ、こちらこそ…よろしくお願いします…」 対戦相手は、保科優希。 とても大会公式戦とは思えない、のんびりした空気がリングを覆う。 「…これは…ジーナにとっては、ラッキーだったのかな」 相羽のつぶやき、美月がさえぎる。 「…いいえ。彼女…初戦の相手としては厳しいですね。先ほど出した確率を…修正しなければいけないかもしれません」 美月の特訓を受けた関節技を、まったく決めることができないジーナ。 リングでの位置取りを、完全に相手にコントロールされていた。 「あ、あわわ…」 「落ち着いてください。相手の動きをよく見てください!」 セコンドから指示を出す美月。 実際、相手の保科も、本調子とは言えない動きであった。 しかし、やや優勢になり始めたその瞬間……。 「えっ!?」 保科が一瞬の隙をついて、スモールパッケージホールドで丸め込む! レフリーのカウントが数えられる。 1、2……… 「返してください!」 2.5! はっ、と冷静さを取り戻したジーナが、ギリギリで丸め込みを返す。 そして最後は、粘る保科をキャプチュードで沈め…なんとかジーナが勝利をあげた。 ジーナ・デュラム ○2113 キャプチュード 保科優希 「…いい試合でした~。ありがとうございます~」 「いえ、こ、こちらこそ…ありがとうございました…」 結局、この保科選手は、同点3位で惜しくも1次リーグで姿を消した。 …だが、この後2次リーグで当たったどの選手よりも、彼女は強敵だった。 …そしてさらに、1次リーグではこの後、とんでもない相手が待ち構えていたのである。 鋭い攻撃力を誇るうえ、ジーナの得意分野を完全に防御しきっていた、佐尾山幸音鈴。 一瞬の鋭いラ・マヒストラルでジーナを丸め込んでみせた、武藤めぐみ。 彼女たちふたりとは、後に決勝でも上位を争う重要な一戦としてあいまみえることとなる。 このほか、すべての防御力においてジーナを上回っていたレインボー岩城など、数々の難敵との激戦をくぐりぬけたジーナは、どうにか8勝1敗でリーグ2位となり、2次進出を果たした。 「も、もう…む、無理です…」 「…たしかに、予想していたデータよりも厳しい相手でした。…ですが、彼女たちのなかで勝ち抜いたことは、ジーナさんに確実な成長をもたらしているはずです」 美月の言葉通り、ジーナは2次を8勝(同時1位)で勝ち抜き、あっさりと決勝進出を決めた。 …そして、迎えた決勝リーグ。 事件は、公式戦開始直後に起こっていた。 「なに!? もう全勝が現れただと!?」 「…はい」 「あの佐尾山や武藤らが、あっさりと敗れたというのか…」 「しかも…これは、私の予測なんですが…」 「……まさか」 「おそらく、勝ち抜いた選手は…際限なく、強くなっているでしょう」 2次リーグあたりから聞こえてきた、ひとつの噂。 常軌を逸した強さを誇る八島静香が、ホーム&アウエー全勝で勝ち進んでいる。 しかも、モラルなど関係ない、勝てば良いという堂々としたヒールっぷりだという。 「……む、むりです…私には、そんな人と試合するなんて…無理です…」 「…まあ、ちょっと様子を見てみるか」 ジーナたちが見ていた前で繰り広げられたのは、あの佐尾山が、常軌を逸した八島に敗れた場面だった。 …その佐尾山でさえ、常識的には一線を超えた強さだというのに。 「…ってめえ、どう考えても、そのやり方はおかしいだろ!?」 「…はっ、お子様が。あたしは、ルールを外れたことはやっちゃいないよ。いいか? これはプロレスなんだよ。ケンカなんだよ。モラルだ? 笑わせんな。勝ったほうが正義なんだよぉ!」 圧倒的な強さを見せつけ、勝ち誇る八島。何もかも捨てているのか、その態度はどこまで傲慢で、容赦が無い。 「…これは…とんでもない相手ですね…」 美月がなにやらデータを打ち込みながら、険しい表情を浮かべる。 その横で、ジーナが震えていた。 「…お、おかしいです…」 「…ジーナちゃん?」 「こんなの、おかしいです! 許されるはずありません!」 ピュアな正義感を持つジーナが、怒っていた。 プロレスを続けてきた彼女が、初めて見せた怒りである。 「よく言った!」 「…え?」 我に返ったジーナの前に、ボスが立つ。 「ジーナ、キミに足りないのはその気持ちだったんだよ。その気持ちさえあれば、どんな強大な相手にだって、勝てる! …だがこれは、プロレスだ。カウント4までなら反則をしてもいいのも事実だ」 「ボス、でも…!」 「…だが! そういった反則もすべて受けきって……そのうえで、奇跡の逆転勝利を果たす! それが、プロレスの醍醐味なんだよ!」 「え、ボ、ボス…?」 ちょっと冷静になったジーナが、少し逃げ腰になる。 「たしかに、勝ち目は薄いかもしれん。さらに、ほかの強敵相手に勝てるとも限らない。…だが、それでも、1%の希望を信じて特訓する! そう…それが、プロレスなんだ!」 「そうですね! ボス!」 相羽が、目を輝かせて激しく同意する。 「相羽。なぎさ。美月。香澄。ジーナの特訓に、つきあってくれるか?」 「はい! もちろんです!」 「……うん……」 「もちろんです」 「まかせて!」 「え、…あ、あの…ええ!?」 ボスと大先輩たちが盛り上がるなか、当のジーナはただおろおろするだけなのであった。 …それから数日。 らぶりぃぱーてぃの歴史でももっとも過酷と思われる、特訓が続いた…。 最終日直前。 やはり、武藤めぐみも動き出していた。 あの八島が、武藤に敗れたのだという。 1次リーグで、唯一敗北を喫した相手…武藤めぐみ。 一方の武藤も、1次ではジーナに敗れている。 おそらく、想いはまったく同じ。 「…やはり、同じことを考えていたんでしょうね…おそらく、かなりの強敵になるでしょう」 「でも、ここまでみんなで頑張ってきたんだから!」 「ジーナちゃんも、行くよ!」 「…い、いきます!」 …そして、決勝リーグ。 2戦目、まったく本来の動きができないジーナは、ウィッチ美沙相手に大苦戦。それでも、最後は奇跡の逆転勝利を決める。 …しかし、そこで運を使ってしまったのか。余裕を失ったのか。 迎えた全勝・八島戦。 たしかに強いが、ジーナの得意分野であるスープレックスや関節技は苦手にしているようだった。 だが、勝てると思ったゆえに…綻びが生じた。 焦って放った大技は空振りし、着実に追い詰められるジーナ。 しだいに本来の動きは失われ、まったく技が出せなくなっていく。 最後に猛追をかけてあと一歩まで追い詰めるが…及ばず。 必要最低限の動きしか見せない敵に…苦杯を喫するのだった…。 「…すみません…私の作戦ミスです。あのスタミナなら、長期戦に持ち込めばジーナさんなら勝てました…」 「…いや、最終的には俺のミスだ…」 「……ご、ごめんなさい…私が、うまく、動けなくて…」 負けてはいけない相手に敗れ、沈み込む控え室。 「もう! しっかりしろ!」 そこに喝を入れたのは、辻香澄だった。 「たしかに、酷い試合内容だったけど…負けちゃったものは仕方ないだろ! ここで投げやりになって、残りの試合に影響したらどうするの!? そんなの、お客さんにも…ここまで戦ってきた相手にも失礼だよ!」 「…そう、だな」 「…そうですね。香澄さん。私としたことが、動揺していました」 「…やれる? ジーナちゃん?」 「…はい」 ずっと涙を流していたジーナが、顔を上げる。 「…そう、ですよね…。まだ、1次リーグで敗れた武藤さんや、もっと手ごわいさおさおさんとかいますものね…。こんなところで、落ち込んでちゃダメですよね…」 「…ジーナさん…」 (強く、なったな…) あんなに頼りなかったジーナが、今、誰よりも前向きな表情を見せる。 そんな彼女の様子を見た、仲間たちの誰もが心のなかで、ジーナの成長に驚いていた。 「私、行ってきます! みなさんが待つ、リングへ!」 ・ ・ ・ ■第2回ヤングリーグ ジーナ・デュラム(らぶりぃぱーてぃ) 決勝リーグ成績:8勝1敗 準優勝。 ------------------------------------------------------- これ書いたのは、大会直後です(少しだけ後で直しましたけど)。 結果として準優勝だったワケで、終わった直後は作戦ミスがあっただけに、どうしても悔しいキモチがありました。 …なんですが、冷静に考えると、準優勝できて良かったなあ、と。 何より、2007年最後の週刊レッスルに、「ジーナ・デュラム」の名前を刻めたのがやっぱり感動ものでして。 ディアナ以外の外国人で準優勝以上は、初めてですから。 その初の外国人がジーナというのは、何とも面白いじゃないですか。 元々、今回の挑戦に至った経緯としては…。 一度、負けを重ねたらどれくらい強くできるのか、っていうことが試してみたかったんです。 でも、なんか、誰でもいいというのは個人的に抵抗があったんですよ。 強い選手がデビューから負けまくる、というのは、どうも違和感がぬぐえなくて。 そこで、「デビューから負けっぱなしでも違和感無い…というか、むしろそのほうがイメージに合うキャラクター」というのを考えてみたところ…、ジーナさんに行き着いたというワケです(笑)。 なにしろ、本当に弱いので、真面目に最初は勝ちようがないんですが。 (でもウチのジーナ、一応勝率1割5分は超えているんですよ(微妙)) しかも、プロだから寿命の制限もあるので、限界突破させている余裕はありません。 そして、限界もあまり高くは無い。 結論として、ジーナは1200以下枠にしか出られない、という結論に達したワケです(1500枠はアジアだから出られませんし)。 それで、今回の挑戦となったワケで。 ジーナで優勝したら、なんかドラマチックじゃないですか(笑)。 そんなワケで、今までよりずっと本気だったんですが…最後にミスから運に見放されて優勝を逃すあたり、私をよく知っている人は「いつも通りですね」と言われそうです。本気になると、自滅するんだよなあ(苦笑)。 …とはいえ、レッスルサミットの原稿といい、おかげさまで最近、ジーナ愛が凄い勢いで上昇中です。携帯の待ちうけも今はジーナですし(笑)。
by daiya-k
| 2008-01-15 02:20
| ジーナ
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アピール中
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